新卒入社3か月で退職した場合の「その後」と「今後の転職事情」について紹介していきます。
以前は入社したら3年はその企業で働くべきだという声が大きかったですが、最近は新卒入社でも早期退職することは珍しくなく、早い段階で次のキャリア形成へ行動を起こす人もいます。
新卒入社3か月の退職について不安がある方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
新卒入社3か月で退職したその後はどうなる?
新卒入社後3か月での退職率は、皆さんが思っている以上に高いです。
厚生労働省の2022年の調査によると、新卒入社後3年以内に約3割が離職しており、そのうち1年以内の離職が約4割を占めています。
つまり、新卒入社3か月で退職することは決して特別なことではありません。
しかし、この状況を適切に扱わないと、今後のキャリアに長期的な影響を及ぼす可能性があります。
ここからは、新卒入社3か月での退職後に直面する可能性のある問題と、それらにどう対処すべきかを詳しく説明していきます。
3か月での退職は第二新卒になる
「第二新卒」という言葉をよく耳にしますが、正確には何を指すのでしょうか。
一般的に、第二新卒とは新卒入社後3年以内に退職し、再就職活動を行う人々を指します。多くの企業が第二新卒の採用枠を設けており、2023年の調査では大手企業の約70%が第二新卒採用を実施しています。
この採用枠は、早期離職者に再チャレンジの機会を提供するもので、第二新卒として応募する際は、通常の中途採用とは異なる選考プロセスや評価基準が適用されることがあります。
例えば、即戦力としての期待度は低くなりますが、その分、今後の成長の可能性や組織への適応力、仕事に対してのやる気やモチベーションが重視されます。
早期退職を良く思わない企業もある
新卒入社後3か月という短期間での退職は、一部の企業から否定的に見られる可能性があります。
特に、従来の日本的経営を重視する企業では、「忍耐力不足」や「コミットメント不足」と解釈されかねません。
実際、人事担当者へのアンケートでは、約40%が早期退職者の採用に慎重だと回答しています。
しかし、最近は転職をする若者が増えてきていたり、労働市場の変化により、この見方も徐々に変わりつつあります。
特にIT業界やベンチャー企業では、スキルと適性を重視する傾向が強く、早期退職の経歴そのものよりも、その後の行動や学びを評価する企業が増えています。
面接では、退職の理由や経緯だけでなく、その経験から得た気づきや成長を具体的に説明することが非常に重要です。
退職クセが付いてしまう可能性がある
心理学的観点から見ると、一度退職を経験すると「退職クセ」が付く可能性があります。
困難に直面した際に「退職」を安易な解決策として考えてしまう傾向を指します。
労働政策研究・研修機構の調査によると、一度早期退職を経験した人の約35%が次の職場でも1年以内に退職しているという調査結果が出ています。
この「退職クセ」を防ぐためには、自己認識と目標設定が鍵となります。
具体的には、転職エージェントなどのキャリアカウンセリングを受けたり、5年後、10年後のキャリアプランを具体的に描いたりすることが効果的です。
また、次の職場では「最低2年は頑張る」といった具体的な目標を立て、困難に直面した際の対処法を事前に考えておくことが大事です。
新卒3か月で退職した後の転職活動について
新卒3か月での退職後の転職活動は、通常の転職とは異なります。
リクルートワークス研究所の調査によると、第二新卒の約60%が半年以内に次の職を見つけていますが、転職先が決まるまで大変なことが多くあったと言われています。
特に、短期間での退職理由の説明や、限られた職歴をどうアピールするかが重要なポイントとなります。
以下では、転職の成功率を高めるための具体的な対策を詳しく説明します。
退職した理由を分析して明確にする
退職理由の分析は、面接対策のためだけではありません。
退職理由を分析する過程で、自分の仕事への適性や自分自身がどういう人間かを知ることができます。
退職理由の分析をする際は、STAR法(Situation, Task, Action, Result)を用いて退職に至った状況を整理することをおすすめします。
例えば、「業務内容(S)に対して、期待されていた役割(T)があったが、自分の行動(A)が会社の期待とミスマッチを起こし、結果として(R)早期退職を選択した」といった具合です。
この分析を通じて、自分の価値観や強み、弱みを客観的に把握できます。
さらに、この分析結果を基に、次に求める職場環境や業務内容を具体化することで、より的確な就職活動が可能になります。
前向きな退職理由を伝える
退職理由の伝え方は、採用担当者の印象を大きく左右します。
不満ばかりのネガティブな表現は避け、学びや成長を強調することが重要です。
例えば、「人間関係が合わなかった」という理由は、「多様な価値観を持つ人々と協働する重要性を学んだ」と言い換えることができます。
また、「業務内容が期待と異なった」という理由は、「自己の適性とキャリアゴールをより明確にする機会となった」と表現できます。
このように前向きな表現を用いて退職理由を伝えた人は、面接通過率が約1.5倍高くなると言われています。
さらに、退職後の行動も重要で、関連する資格取得や自己啓発活動に取り組んだことを具体的に説明すると、学習意欲や向上心をアピールできます。
これらの要素を組み合わせることで、短期間での退職というネガティブな印象を、成長の機会として前向きに捉え直すことができるのです。
履歴書の経歴は偽らない
履歴書における3か月の経歴の扱いについては、多くの誤解があります。
しかし、この短期間の経験を隠すことは、単に倫理的問題だけでなく、法的リスクも伴います。
労働基準法第22条では、使用者は労働者の請求に応じて、使用期間、業務の種類等を明らかにした証明書を交付しなければならないと定められています。
つまり、前職の在籍証明は容易に取得可能であり、経歴詐称は簡単に発覚する可能性があります。
実際、経歴詐称が発覚した場合、内定取り消しや解雇事由となることがあります。
一方で、短期間の経験を正直に記載することで、誠実さや透明性をアピールできます。私の経験では、3か月の経験を正直に記載し、そこから得た学びを具体的に説明できた候補者の方が、むしろ好印象を与えることが多かったです。重要なのは、その経験をどう活かすかを明確に示すことです。
大手企業だけではなく中小企業も視野に入れる
転職活動をする際には、大手企業だけでなく中小企業も視野に入れましょう。
中小企業庁の2023年の調査によると、日本の企業の99.7%が中小企業であり、雇用の約70%を担っています。
つまり、中小企業には豊富な就職機会が存在するのです。
特に、第二新卒にとって中小企業には多くのメリットがあり、大手企業と比べて早めに責任感のある仕事が任せられることも珍しくなく、キャリアの成長スピードが早い傾向にあります。
実際に、中小企業に転職した人の約65%が2年以内に管理職やリーダー職に就いています。
転職エージェントを利用する
早期退職者や第二新卒の転職活動において、転職エージェントの利用は必須と言えます。
転職エージェントは単なる求人紹介にとどまらず、履歴書・職務経歴書の添削、面接対策、条件交渉のサポートまで、転職活動全般をバックアップしてくれます。
特に、3か月での退職という特殊な状況においては、エージェントの専門知識や助言が大きな助けとなります。
転職エージェントを選ぶ際は、第二新卒支援の実績や、希望する業界への強みを持つ転職エージェントを選ぶようにしましょう。
また、複数のエージェントを並行して利用することで、より多くの選択肢を得られます。
早期退職者からよくある質問
ここからは入社3か月で退職してしまった方や、1年以内の早期退職者からよくある質問についてご紹介していきます。
現在のご自身の状況と照らし合わせながら見てみてください。
3か月の経験は意味がないのでしょうか?
決してそうではありません。
3か月という短期間でも、多くの学びや気づきがあるはずです。
例えば、組織(会社)への適応力、コミュニケーションスキル、時間管理能力など、様々なスキルを磨く機会があったはずです。
また、自分に合う仕事や環境について理解を深められたことも大きな収穫です。
これらの経験を具体的に言語化し、次のキャリアステップにどう活かせるかを考えることが重要です。
面接で不利になりませんか?
3か月での退職は一見するとネガティブな印象を与える可能性があります。
しかし、その経験をどう捉え、何を学んだかが重要です。面接では、退職の理由を誠実に説明しつつ、そこから得た学びや成長を具体的に伝えることが鍵となります。
例えば、「短期間で退職を決断したことで、自己の適性やキャリアゴールをより明確に認識できた」といった前向きな解釈を示すことができます。
また、退職後の行動も重要です。スキルアップのための学習や、業界研究などの自己啓発活動に取り組んだことを示せれば、むしろ積極性や向上心をアピールできるでしょう。
どのくらいの期間で次の仕事が見つかりますか?
転職にかかる期間は個人差が大きいですが、一般的に第二新卒の場合、3〜6ヶ月程度で次の仕事が見つかることが多いです。
リクルートワークス研究所の調査によると、第二新卒の約60%が半年以内に転職に成功しています。
ただし、この期間は業界や職種、また経済状況によっても変動します。
例えば、IT業界やデジタルマーケティング分野では、人材需要が高いため、比較的短期間で転職できる傾向にあります。
一方で、より専門性の高い職種や、競争が激しい業界では時間がかかる場合もあります。
まとめ
新卒入社3か月で退職したその後に与える影響と、早期退職の転職事情について紹介してきました。
最近では入社後1年以内に退職を決断することも珍しくなく、第二新卒枠や中途採用の採用枠を多く設けている企業も増えています。
新卒入社後3か月で退職してしまった場合は、なぜ退職に至ってしまったのか、自己分析をしっかりとして次の転職を成功させましょう。